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不動産売買や賃貸の場面において、不動産業者はその物件についての告知義務を負っています。
告知する内容としましては、土地が隣地に越境しているか・災害にあったことがあるか・近隣に生活するうえで
支障となる施設があるか等々です。
一般的に知られているところですと、事故物件か否か(その物件内において自殺・殺人事件があったか、また病死の場合でも
長期間放置されていたか)が大きな告知内容となります。
一応、宅地建物取引業法47条に告知義務についての取り決めがありますが、明確なガイドラインはなく不動産業者もどの程度
まで告知したらよいのか判断基準が無いままおりました。そのため、後々トラブルや訴訟にまで発展したケースも幾つかありまし
た。
また、賃貸物件内で人が死亡すれば全て事故物件になってしまうのではとの疑念により、単身高齢者がアパート入居を断られる
ケースも多々発生しております。
そうした状況を鑑みて、令和3年10月に国土交通省による一定のガイドラインが策定されました。
ガイドラインの規定を大まかにご説明しますと、
・売買・賃貸物件内において病気や老衰などにより死亡した場合や、階段から転落したり入浴中に亡くなった場合は告知しなくて
良い。(特殊清掃・大規模リフォーム等が行われた場合を除く)
・賃貸物件において、自殺・殺人事件が発生してから3年を経過した場合は告知しなくて良い。(事件性や周囲でも知られている
ほど影響が高い自殺・殺人事件の場合を除く)
・賃貸物件において隣の部屋や通常使用しない共用部分において自殺・殺人事件が発生した場合も告知しなくて良い。
(事件性や周囲でも知られている ほど影響が高い自殺・殺人事件の場合を除く)
とされました。
あまり人の「死」について、ナーバスになりすぎることを防ぐ意味としてはガイドラインは大変役立つのかと感じます。
しかしながら、買主・借主が人の「死」について重要視していたり、たとえ病死でもあっても周辺住民の方々が知っている
場合は、亡くなった方やご遺族の名誉を傷つけない程度での告知は必要かと思われます。
安心・安全な不動産取引のはずが、後々トラブルに発展しないために不動産業者の法令順守の意識や資質が大切です。